2005.07.10 Sunday

歌仙「陶枕や」

 

歌仙両吟をはじめます。
風魚さんから、7月10日、以下3つの発句候補をいただきました。

微熱して泰山木の花を踏む 
鍵束を鳴らしつつ入る梅雨の闇
陶枕や黒髪三千尋の海

このうち

陶枕や黒髪三千尋の海

を発句にいただき、歌仙「陶枕や」の始まりとなりました。

なお、残るに2句は三つ物といたしました。

*

微熱して泰山木の花を踏む     風魚
 行く雲白く浮遊する初夏     鰻鱈
草原を西から東へパオ曳いて     〃

      *

鍵束を鳴らしつつ入る梅雨の闇   風魚
 つるべ届かぬ水無月の井戸    鰻鱈
田植する隣の田では稲刈りて     〃


      *

「陶枕や」
歌仙両吟
起首 2005.7.10
満尾 2005.10.10
 
風魚
鰻鱈


陶枕や黒髪三千尋の海       風魚
 睡蓮の午後白の欲動       鰻鱈
リヤカーに掘出し物の古書積みて   魚
 驢馬で供する糸杉の道       鱈


ドーミエ、パリ・オルセー美術館

細巻きを吹かせば月のけぶたげに   魚
 二百二十日のちぎれ雲とぶ     鱈

隣の子変化であったかカボチャ切る  鱈
 奥の座敷は散らかしたまま     魚
三峡や埴生の宿は水の底       鱈
 せきこむ度に星が三つ四つ     魚
暁に爆弾巻いて別れたり       鱈
 半分残すカップヌードル      魚
兼好の欠けた茶碗に月凍る      鱈
 じゃぽにすむとは島に棲む亀    魚
 

葛飾北斎

見渡せば隠岐の波濤の十九年     鱈
 僧帽筋のもっこりとして      魚
花の下むすめ男とジャカランダ    鱈
 点になるまで睨む風船       魚
ナオ
春雨に足止めを食う曲馬団      魚
 いくさに暮れた少年の日々     鱈
極小と極大に向く数列に       魚
 風は飄飄地は渺渺と        鱈
太棹を抱えて眠る尼の夢       魚
 琵琶さへ重き公達を恋ひ      鱈
ドクターも了えて幼い左書き     魚
 コンピューターに結論を聞く    鱈
吹けば飛ぶ今は昔の万元戸      魚


西域南道のオアシスで

 どけよ二輪車奔馳お通り      鱈
青白き月に濡れたる犬公方      魚
 すすき生けたる茶室人なく     鱈
ナウ
褒めあげて誰も貰はぬ隼人瓜     魚
 やがて食い飽くきりたんぽ鍋    鱈
ユンボ駆る男は訛隠さずに      魚
 野天風呂からふるさとの山     鱈
泣き虫のまなうらに在る花ふぶき   魚


春の定番

 箱庭の春いともおだやか      鱈

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