歌仙 ふるさとやの巻

 

2005.12.19-2006.1.3
酔馬+鰻鱈

ふるさとや音ふりこめて雪がふる 鰻鱈
 竹折れを聞く寒き丑三つ     鱈
ビルの谷春一番の吹き抜けて   酔馬
 角の花屋に紅梅の束       鱈
明日発つ子傘も持たせる朧月    馬
 春は別れの雨やわらかく     鱈

誰か居る気配伝わる電話口     馬
 こたびの主も盗み聞き癖     鱈
お局は地獄耳なる耳年増      鱈
 噂の花を無料配達        馬
大宰府で配所の月を見るはめに   鱈
 紅葉照らせる日暮の山    天神馬
夕霧の白さ息のむ緋縮緬      鱈
 まぶたに浮かぶ放蕩の頃     馬
若き日の憧れの君色香なお     馬
 翁媼が高砂を舞う        鱈
友ありて福寿さげ来る門の松    馬
 笑い上戸の礼者めでたし     鱈
ナオ
騾馬の背に黄砂降らせる鳴沙山   馬
 万歩計つけ絹の道行く      鱈
僧歩む仏の国へ幾千里       馬
 きつけ薬の般若湯さげ      鱈
京の暮れ塔の向こうに雁渡る    馬
 後の月射す銀閣の庭       鱈 
尾花散る淀の下りは三十石     鱈
 松茸ないか食らわんか舟     馬
バンコクは水の都の初市で     鱈
 パパイヤ売りはほほえみも売る  馬
豊かなり熱き思いの胸のうち    鱈
 知るも知らぬもひと夜の出逢い  馬
ナウ
さあやるぞセンター試験の霜の朝  馬
 助太刀無用りりし初陣      鱈
婿どのに菜飯持たせて送り出す   馬
 白砂青松遠霞みけり       鱈
友と酒つどう花見の今が華     馬
 ひとひら見えて春はたまゆら   鱈